綱領

綱領

われわれJayceeは
社会的・国家的・国際的な責任を自覚し
志を同じうする者相集い力を合わせ
青年としての英知と勇気と情熱をもって
明るい豊かな社会を築き挙げよう

(1960年12月 日本青年会議所 総会決定)

解説

昭和35年(1960年)は保安条約をめぐり、まさに激動の1年であった。
このような中で、幅広いメンバー層の思想を統一し、日本青年会議所のあり方を再認識する必要に迫られ、「JC三信条」「定款」「JCIクリード」を基礎として「JC綱領」が制定された。
この綱領はJCの団体としての理念を確立し、JCメンバー個人の運動黙秘を明確に位置づけたものである。

 綱領の第1節「社会的・国家的・国際的な責任を自覚し」は、何よりもまずJCのよって立つべき「立場」を明らかににしている。

 「社会的」― 社会の問題を振り返った時、そこにははっきりした「指向目標をかかげた社会」が考えられ、西欧のいわゆるコミュニティに近い概念をもった「社会」を意味するようになった。そして、このような「社会」を追求し、建設する責任を持つものこそJCであるとの議論と決意を示すのが、この最初の字句である。このことは、「社会的」の次に「国家的・国際的」と並列して同次元においていることと、末段に「明るい豊かな社会」と明示していることで明らかである。

 「国家的」― 創立以来の「新しいナショナリズム」の場は、当時の無国籍的言動の横行する中で新たな勇気と感激をもって再認識されている。そして、さらに、ナショナリストにして初めてインターナショナリストたり得るのであって、無国籍的のインターナショナリストはあり得ないことを明確に打ち出している。

 「国際的」― しばし用いられてきた文字であるが、10年のJC活動を得た後に、日本青年会議所は国際的視野においても国際的理解においても、いささかの卑下するところもなく、その気概と自信を公然と披攊し得るようになった。このことは、従来「国際的理解と友誼」と表現されていたものを「」国際的責任と止揚したことに明らかにうかがわれる。

 第2節の「志を同じうするもの相集い力を合わせ」は、日本におけるJCのあり方を明示している。社会が安定して他の各種団体が親睦団体や慈善団体に堕そうとしている時こそ、JCはその本質的なあり方を解明してJCNお方向を誤らすことないようにせねばあらない。JCがなによりもまず「同士的結合体」であることを、この時点において再認識したことは以上のような重大な意義をもっている。

 第3節の「英知と勇気と情熱をもって」は、説明を必要としない。JCの「行動」を示している。「英知・勇気・情熱」この三つのいずれを欠いても、JCの行動はあり得ない。むしろ、いささか巨大になったJCの、あるいはJCマンの二世的なことなかれ主義のきれいごとに終始している傾向に警鐘をならしていると見てもよい。

 終説の「明るい豊かな社会を築き上げよう」は、いうまでもなくJCの行動を示している。JCは新しい行動目標と、思想的統一を必要としていた。「明るい豊かな社会」これがJCの行動方向である。なんと素晴らしい、青年らしい率直さと若々しさにみちた言葉ではないか。

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